伝統工芸・藍染めが分かる!藍師って?染め師って?体験も…

【伝統工芸・藍染めが分かる!藍師って?染め師って?体験も…】

伝統工芸シリーズ、藍染め編

藍染めって、日本で一番古い染色方法なんですって。

現代病、アトピー性皮膚炎。藍の薬効でアトピーっ子にも優しい藍染めとして、注目されているそうです。

さて、一緒に藍染めの勉強をしましょうか。

●藍染めって?

藍染め

“藍”という植物で、糸や布に色をつけること。藍染めは古代エジプトやインド、ペルーでも広く見られたそうです。

藍で染まる色は青。『青は藍より出でて藍よりも青し』とは中国のことわざ。藍から採れる青色は、藍の葉よりも美しい・・・といっています。

ただ、世界各国で使われる藍の種類は違うんです。

日本本土ではタデアイ、沖縄ではリュウキュウアイが一般的。

万国共通なのは、その藍にインディゴという色素が含まれていること。

人工的にインディゴが作られるようになり、天然の藍を使うことは少なくなりました。

が! 薬としての藍に注目が集まり、冷え性や肌荒れ、汗も、アトピーにもいいんじゃないか・・・と、天然ものを求める声が出ています。

日本にタデアイと染色が伝わったのは、5世紀頃。まだ古墳をたくさん作っていた時代です。

最初、藍染めに関わったのは出雲(現島根)の人たち。

当時の染色は、花を直接衣服にこすりつけて色を移してしていた“花ずり”だったようですけど・・・。

平安時代に入り、都から阿波(現徳島)にタデアイの種が伝わり栽培が始まりました。

それから現在に至るまで、徳島は藍染めの発展に大きく関わっています。

藍染めはじめ、草木で布を染めることを“草木染め”といいます。

我が子が一時ハマっていた色水作り。朝顔の花に水を混ぜてできるきれいな色の水。

この色水でも染まったのかしら!?白い布切れを入れてみればよかった・・・と後悔中です。

“サムライ・ブルー”サッカーの印象でしょうか。

私、日本のイメージカラーは、なくなんとなく“青”だと思っていました。

明治時代、日本にやって来たとあるイギリス人科学者は、青色に染まる街をみて“ジャパン・ブルー”と言ったそうです。

江戸時代に木綿(コットン)が普及し、のれんや風呂敷、着物に浴衣など日本の布製品の8割が藍で染られていたそうです。

●藍師の技

その昔、草木をそのまま衣服にこすりつけて色を付けていた時代がありました。

色水をつくり染めていた時代もありました。

ただ、この方法だと、植物の生育時期に限られ多くの布を染めることはできません。

そこで登場したのが、インディゴを取り出すという技術。

日本では“泥藍”と“蒅(すくも)”が知られており、どちらも発酵がポイントなんです。

泥藍(沈殿藍)は沖縄に伝わる方法で、水につけた藍を発酵させ泥状のインディゴを取り出すやり方。

もうひとつの“すくも”は室町時代からの製法で、“すくも”を作る人を藍師と呼びます。

藍草(タデ科)の干草を発酵させて出来た、黒い土の様な状態の蒅(すくも)を、運搬や保管の為に、突き固めた、藍染の原料

最大の産地である徳島でも、すくも作りを生業にしているのは5軒だけになってしまったそうです。

夏、収穫を迎えたタデアイを乾燥させ、葉と茎に分けます。

使うのは葉の部分だけ。寝床にタデアイを運び、水をかけかき混ぜることで発酵を促します。

発酵はじめたタデアイの葉は、強烈な匂いを発しながら70度にも達するそうです。

過酷な環境の中、水をかけかき混ぜる作業を続けること3カ月。

そうして出来上がった“すくも”が染め師の元へと届けられます。

“すくも”を固形化したものは“藍玉”と呼ばれます。

この動画の1分57秒までが、藍師の技!

●染め師の技

で、1分58秒以降(細かい!?)が、染め師の技!染め師は“紺屋”と呼ばれることもあります。

染め師の仕事は、布に染色していく作業だけだと思っていませんか?実は、この“すくも”の状態では染料として未完成。

インディゴの固まりの“すくも”ですが、インディゴちゃん。残念ながら水に溶けません。

水に色素が移らなければ、布や糸を染めることはできません。

さらに“藍だて”と呼ばれる作業が必要になります。石灰や木灰を混ぜて、発酵させるのです。

ここで何を使うかは染め師や地方によって違うようですね。

ただ、共通しているのはpH10.5~10.8のアルカリ性だということ!

pHの値と、よく知られている溶液の関係の例(イラスト。ただし文字は英語表記)。下部がpH=0に相当し強酸性で、上部がpH=14前後に相当し強アルカリ性

この藍だての作業。ぬか床と同じで毎日、お世話しないと使い物になりません。

アイ (植物)

状態を見ての作業を続けること1週間。表面に藍の華が浮かべば、いよいよ染めの段階に入ります。

白い布を浸ける・・・だけで染まるんですが、天然の染料は生き物!均一に染めるだけでも技術がいるそうです。

藍染め綿糸【藍の彩】【藍色の糸5色セット】

  同じ染料でも浸け具合によって違う色に染まるんですね。

模様をつけるのも縫ってみたり、輪ゴムでくくったり、小物の力を借りたり・・・

イメージ通りに仕上げるにも技が光ります。

●藍染めを体験する

さて、長いこと藍染めの講義をしてきましたが、ここは旅行の情報サイト!自分で染めてみましょう!

*本藍染矢野工場/徳島

現代の名工・佐藤昭人氏が作る“すくも”を使用し、天然ものにこだわった染めを行っています。

本藍染矢野工場

体験はハンカチ1枚1,600円~(約2時間、20名まで)。

藍だてを1週間かけて学ぶコースもあります。本格志向のあなたにオススメです。

 ・住所:徳島県板野郡藍住町矢上字江の口25-1  

 ・予約:1週間前までに TEL(088-692-8584)へ

*愛藍人・文字(あいあんど・もんじ)/宮城

宮城県に伝わるのは“正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)”。

タデアイを育て、“すくも”をつくり、機織りした麻布を染める・・・藍染めに関わる工程すべてを行っています。

初代の千葉あやのさん(故人)は、藍染めの世界で唯一の人間国宝に選ばれたお方。体験は6月上旬~7月中旬の1カ月限定!予約はお早めに!

 ・住所:栗原市栗駒文字鍛冶屋103 

 ・営業時間:10時~17時(食堂は15時まで) 

 ・休館日:水曜日・年末年始

 ・入館料:大人300円 子ども150円 ・予約:TEL(0228-47-2141)へ

*武州中島紺屋/埼玉

武州(現埼玉)に江戸時代から伝わる武州正藍染。資料館を併設しており、学ぶ!作る!が一度にできちゃいます。

ハンカチ(800円)、シルクショール(2,500円)、半そでTシャツ(2,500円)など。

私物の持ち込みも可能。染まらない素材がありますので、お問い合わせくださいね。

 ・住所:埼玉県羽生市大字小松223 

 ・営業時間:9時~17時 

 ・予約:TEL(048-561-3358)へ

*藍染茶房 藍風/沖縄

藍の生まれる里であなただけの一品を・・・

沖縄県北部の本部町は、古くからリュウキュウアイの産地。

藍風は、ちゅら海水族館まで車で15分の距離。

藍染体験
①ストール ¥6,000(税込)
②コットンバック ¥3,500〜(税込)
③ハンカチor手ぬぐい ¥3,000(税込)。

12:00〜16:00、藍染め体験は前日までに要予約

火曜・水曜(不定休あり)

・住所:沖縄県国頭郡本部町字伊豆味3417-6 

・営業時間:10時~17時(喫茶LO.16時) 

・定休日:月曜日・木曜日・年末年始

・予約:前日までに電話にてご予約ください。

 Tel 0980-47-5583 (定休日:火水 不定休有り)

●DIY志向のあなたへ

DIYブームの今、自宅で!という方もいらっしゃるかな…。

タデアイを育てることは出来ても、“すくも”を自作するのはチャレンジャーかも。

“すくも”を仕入れて、自分で“藍だて”するのもよいですが、これも素人には難しそう。

けれど、どうしても自宅で・・・という方は、

SEIWA(誠和) 染料 紺屋藍

をどうぞ。マニュアルもついて初めてでも簡単に藍染めが作れますよ!

いかがですか?

藍師・染め師の技をご紹介しました。

日本には納豆や味噌、醤油と発酵の知恵はあるものの、最初に“すくも”の作り方を見つけた人、“藍だて”を考えた人、すごいと思うのです。

役人さんだったのでしょうか、タデアイを育てる農家だったのでしょうか・・・。

現代まで残る技の発端をそっと覗いてみたくなりました。


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